時が止まった部屋
石畳を靴が鳴らし 喧噪の先を曲がる
おもちゃみたいな音を立てて馬車が行くのを 見ていた
異世界への入口のような 大きすぎる木の扉
連れられた子供たちも 不意に表情を変える
時が止まったようなこの教会で 祈りを眺める
人の在り方など しばらく変わってはいないのだろう
初老のようなチェロが歌い それを愛でる笑顔がある
おもちゃみたいな町の中で 熟した魂を見ていた
この美しい町並みを造ったのは 支配者か 芸術家か
名もなき大工さえも 皆ダヴィンチだったようで
時が止まったようなこの教会で 芸術を眺める
色の恍惚など しばらく変わってはいないのだろう
どれだけの心が ここを行き交ったのだろう
人ではなく心が ここを行き交ったのだろう
時が止まったようなこの教会で 空間を眺める
呼吸の仕方など しばらく変わってはいないのだろう
時が止まったようなこの教会で 祈りを眺める
人の在り方など しばらく変わってはいないのだろう