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  • 執筆者の写真さと

首長の村の掟


首長の村の掟


幾つものバスを乗り継いで北上 

タイの山奥に その村はある

昔はひっそりと暮らしていたけど 

テレビで取り上げられたのが転機


もの珍しいもの見たさで バスはやってくる 

村を包む静かさを 朝から引き裂いて 


 首長の村の掟 手錠で首を絞める

 その理由など 誰も考えはしない


幾つものバスは旅行者と共に 

多くのお金を落としていった

目のくらむ村人 更なるバスを 

呼び込む道路を広げていった


便利な暮らしを知ったら もう引き返せない 

笑顔の作り方を覚えたのはなぜか?


 首長の村の掟 手錠で首を絞める

 その理由なら 今は昔と違うけど


村の奥の小学校 旅行者は気付かない 

子供たちはまだ 排気ガスで汚れていない

彼らは誰一人 望んではいないようさ 

手錠で首絞めてまで 豊かになることを


 首長の村の掟 手錠で首を絞める

 霧の向こうの笑顔は 本物ではない

 

 首長の村の掟 手錠で首を絞める

 お金を落とすことが 愛なんかじゃない

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